ゴルフな人々    (イラストレーター渡辺隆司のブログ)

ゴルフが人生に似てるのか、人生がゴルフに似てるのか... 忘れ得ぬ、ゴルフで出会った人々。

ゴルフ人生で、触れ合いすれ違った人達の、忘れられぬ想いを描き残しておきます。

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K氏は、静かに熱く燃えている。
父親が楽しんでいたために、早くから接していたゴルフ。

そこそこ自分でも楽しんでいたんだけれど、なぜか自他ともに認める「飛ばない』「100を切れない」というゴルファーだった。
...確かに飛ばなかったし、スコアもまとまらなかった。
自分はそんなもんなんだと言う諦めが、あった。

でも、それが大きな間違いだった事に最近気がついた!
きっかけはグリップ。
疑いも無く自然に握っていた自分のグリップが酷いウィークグリップだった事を指摘され、違和感一杯でストロンググリップにして打った所...30ヤードも一遍に飛距離が伸びたのだ!

それから、自分のゴルフを改めて見直してみた...何より、今までの思い込みを捨てて謙虚に自分を見直すつもりで。
アドレスが変だった。
ボールの位置も変だった。
腕の変な所に力が入り過ぎている。
右肩が前に出ている。
スタンスが狭過ぎる。
...等々。

グリップを改めてややストロングにしてみると...
トップのフライングエルボーと言われていた右肘が、グリップを変えた事で自然に収まった。
振り抜きの引けてカッコ悪いと言われていた左肘が、自然にたためるようになった。
グリップのおかげでスイングプレーンが、今迄と違って来た。
振り抜きのスピードがが違ってきた。
インパクトの音が違って来た。
フィニッシュが止まるようになった。
...
面白くなった。
あらためて色々なレッスン書を読み、練習場に頻繁に行くようになった。

ゴルフ仲間に、「とてもかなわない」と思っていた飛ばし屋がいる。
知り合いに「とてもかなわない」と思っていた上級者がいる。
いい仲間だけれど、いつも「上から目線」でゴルフを語られていた。
ゴルフの知識じゃ決して負けてはいないのに。
...いい勝負を出来るかもしれない...本気でそう感じた。

インナーマッスルをつける。
体脂肪率を下げる。
柔軟体操、ストレッチを続ける。
基礎体力の向上ならびにウェイトトレーニングも...

今は筋力をつけながらも、4キロの減量に成功した。
飛距離も確実に伸びている。
この次は無理でも、その次かそのまた次か...近いうちに勝負して勝てるかもしれない...飛ばしで、スコアで。
そうしたら、今迄の「上から目線」ではなくて、自分の前で「下から目線」でゴルフを語らせてやるから。
「男子三日会わざれば、刮目して見よ」と言う言葉を、思い知らせてやるから。



...問題は、仕事が忙しくてラウンドする時間がないだけだ。

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ゴルフをするとその人間の本質がわかる、と良く言われているのは知っている。
そうすると私って、獰猛な人間なのかしら。

...小さい時からずっと、他の人と喧嘩するなんて事はまずなかった。
たとえ喧嘩しても、いつも泣かされている方だったし、喧嘩しそうな雰囲気になるだけで逃げてしまったし。
それからずっと...少女時代も、20歳を過ぎてからでも、私は「目立たない」とか「おとなしい」という形容詞をつけられている、小心で穏やかな人間だったはずだ。
自分でも、争いごとを好まず、「みんなと仲良くしていければそれでいい」ってずっと思っているのは変わらない。

それがゴルフを始めたら、周りから言われる事が変わって来てしまった。
「君は獰猛なゴルフをするねえ」
「いやあ、本当に男前なゴルフだ」
「君の本当の性格は獰猛なのかもしれないねえ」
.....
そうなのかしら?
私は争いごとは相変わらず苦手だし、誰かを押しのけていい思いをしようなんて思わない。
「私は端っこでいいよ」なんて言うのが口癖だし、目立つところにいるのは嫌だ。

ただ、勧められて嫌々始めたゴルフは、まぐれ当たりでボールが遠くまで飛ぶのを見てからは、自分の数少ない楽しみのうちで最上位を占める趣味になった。
練習場のゴルフ教室で、レッスンプロに教わって一から覚えて、週一回の練習は欠かさない。

...ただ、私にとってその「ゴルフ」の最高の楽しみは「ボールを遠くへ飛ばす事」だから、(レッスンプロにちゃんと教わったのに)遠くへ飛ばしたくてフライングエルボーのオーバースイングになっちゃったし、「コース攻略の方法」なんていうのも勉強したんだけれど、ピンが見えたらピンに真っすぐ打たないと気が済まない。
せっかく広くて気持ちのよいコースに来たんだから、天に向かって「どこまでも飛んで行け!」とドライバーを打ち、ピンに向かって「ともかく最短距離を」とアイアンを打つ...それしか考えたくない、というのはおかしいだろうか。
(その間に池があっても谷があっても、OBがあっても1ペナがあっても、それを越える事が気持ち良いんだし...)

私の「人見知りをする」、「臆病」で「引っ込み思案」で「目立たない事が好き」で「争いごとは好まないし怖い」という性格は、ちっとも変わっていないんだから、ゴルフを見て私の事を「獰猛だ」なんていうのは間違っていると思うんだけど...

だから、「ゴルフのプレーを見れば、本当の性格がわかる」、なんていうのは間違っている、と私は思っている。
...私は獰猛じゃない。

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「本当に親父か?」
Kさんが、自分の父親のその写真を初めて見つけた時には、ルーペで何度も拡大してみたほどだった。
...父親が、照れくさそうに、でも嬉しそうにカップを抱いている写真。

...そんなはずは...
だって親父は最後まで100を切るか切らないかの腕だったし、ハンデだって15まで行ったかどうか..
自分とやっても何時も10打以上多く叩いていた。

酒もタバコもやらずに、趣味と言えば毎週一回行く練習場と月一回のゴルフだけだったけど、真面目に続けていたのは知っている。
どういう訳でゴルフを始めたのかは知らないが、長くやっている割には極端なオーバースイングとアウトサイドインのスライス打ちは、とうとう治らなかったなあ...
自分がゴルフを始めた時には色々と教えてくれたけど、スコアが親父より良くなってからは何も言わなくなったっけ。
「ボールに触るな」と「プレーを早く」だけは何時も言い続けていたけど。

だから親父のゴルフの自慢話なんて、殆ど聞いたことがない...まして「優勝した」とかなんて話は一度も聞いたことがない...それなのに、出て来たカップを持った親父のモノクロ写真。
気になって、親父のものを捨てられずに仕舞ってある物置を探してみると...一番奥の荷物の下から、ボール箱に入った古いカップが出て来た。
カップは結構大きく、台座には「XXテレビ」と地方テレビ局の名前が掘ってあって、あとはなにも書いてない。

その後テレビ局の広報に聞いてみても、よくわからなかったこのカップの由来が、この前やっと明らかになった。
知っていたのは、親父の古いゴルフ仲間のHさん。
自分があちこちでこの写真の事を聞いて回っている、と言う事を聞きつけて連絡をくれた。

「そのカップは優勝カップじゃないんだよ」
「それ、テレビでやっていた大会のニアピンのカップなんだ」

かなり以前の事、その地方テレビ局の番組で視聴者が一組4人単位で出場して、チームの成績を競う大会を開催した事があったという。
その大会に親父の仲間が応募して、人数あわせに親父も無理矢理出されたんだとか。
チームのホールごとのベストスコアを出せばいいので、下手でも4人目でいれば問題なかったという。

その時にアトラクションとして、全てのパー3ホールにニアピンがあった...これは勿論個人のショットごとの記録だが...そのあるショートホールで、親父の万に一つのスーパーショットが飛び出した...オーバースイングの大き過ぎたアイアンが、テンプラ気味に当たり、あわやホールインワンの30センチに付いたという。
(ホールインワンだったら車一台だったらしい)

この日の親父のナイスショットはこれ一発だけ...でも、チームとしても賞品を貰えたのはこのニアピンだけだったので、しばらくは親父達の仲間内で話題になったという...このとき成績が良かったチームはテレビに映ったらしいが、親父達にはカメラもつかず、テレビに映る事はなかったとか。
ただ、こういうアトラクションで賞を獲った人は、一人一人テレビ局のカメラマンに記念写真を撮ってもらってプレゼントされたんだとか。

謎が解けたこの写真...ひょっとしたら、これが親父のゴルフ人生で一番脚光を浴びたシーンだったのかも。
なんか、親父の表情といい、カップをぎこちなく持つ手といい...微笑ましくて、額にでも入れて飾っておきたい。

いいよなあ、親父のこんな顔は息子の俺もあまり見た事ないような気がするし。
他の人には、ニアピンのだ、なんて言わないでおくからさ。

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