ゴルフな人々    (イラストレーター渡辺隆司のブログ)

ゴルフが人生に似てるのか、人生がゴルフに似てるのか... 忘れ得ぬ、ゴルフで出会った人々。

ゴルフ人生で、触れ合いすれ違った人達の、忘れられぬ想いを描き残しておきます。

img_0-82


Tさんは、ボールをマークしてラインを見る。
「この瞬間が、なんとも言えず好きなんだなあ...」と思う。

Tさんは関西出身の女性。
大学を出てから公務員試験に通り、東京で公務員になった。
その勤務先で大学のゴルフ同好会にいたという女性と同僚になり、付き合いにも必要とわかってなんとなくゴルフを始めることになった。
...そして、間もなくゴルフの魅力に取り憑かれ、熱中した。


(毎日書類とにらめっこの仕事には、土・日と休める時間のゴルフが絶対に必要と感じた。
幸い週2日は必ず休める公務員生活、「遠いけど面白い」と言う評判のコースに入会し、もう10年以上土・日の2日間コースに通っている。
土曜日の朝、2時間かけてコースに行ってプレーをして、その夜はコースのロッジに泊まり、日曜日に月例なりプライベートなりのラウンドをして帰る。
ハンデは11まで行ったけど、そこで止まっている。
...自分で、こんなもので十分なんて思っているから、これ以上のハンデの更新はないだろう。

5日間の公務員としての生活と、土・日のコースでの日々は充実していて何の不満もない。
コースに行けば、必ず10人以上の仲の良い常連の人達がいて楽しいラウンドが出来るし、月例なんかでは同じクラスに知らない人はいない。
レストランで座る席も大体決まっているし、コースの支配人やプロや研修生、レストランの従業員までまるで家族のような付き合いだし...

今までに好きな人がいない訳でもなかったけれど、ゴルフをやめてまで付き合う気もなかったから、大したドラマにもならなかった。
唯一、コースの常連の一人に熱烈にプロポーズされた時には、困った。
あからさまな好意の表現はコースのメンバー達の評判になってしまったし、いつも同じ組になろうと言うのを無理に断ることも出来なかったので、1年ほど「何時二人は結婚するのか」と賭けの対照にされたりもした。
こちらには公務員を辞めてまで結婚するつもりは全くなかったので、あくまで断り通した結果...彼のコースからの退会でその話題は自然消滅した。

...今では私には、「クールな女」と言う評判が定着している。
確かに、毎週土・日の2日間コースに必ず来て、ショットの結果に関わらずゴルフを楽しもうとしている私は、普通の女性ゴルファーのように喜怒哀楽を大袈裟に表に出してはいない。
でも、本当はどのホールだって、ボールをティーアップする時とボールをマークしてラインを読もうとする時、心の底から熱いものがこみ上げて来て、「飛ばしてやる!」「絶対に入れてやる!」と本気で真剣で情熱的な目つきをしていると思うんだけど。
そうして、その時の熱い自分が本当に正直な自分の姿だと思っているんだけど。


それがわかってくれて、仕事をやめないで済む...そういう男性となら結婚してもいいとTさんは思っている。
ずっと独身でいる、なんて決めた訳じゃ決して無い。

でも、もう40を過ぎてしまったTさんだけど、今の生活を変えるつもりは全くない。

img_1-5


K氏は、静かに熱く燃えている。
父親が楽しんでいたために、早くから接していたゴルフ。

そこそこ自分でも楽しんでいたんだけれど、なぜか自他ともに認める「飛ばない』「100を切れない」というゴルファーだった。
...確かに飛ばなかったし、スコアもまとまらなかった。
自分はそんなもんなんだと言う諦めが、あった。

でも、それが大きな間違いだった事に最近気がついた!
きっかけはグリップ。
疑いも無く自然に握っていた自分のグリップが酷いウィークグリップだった事を指摘され、違和感一杯でストロンググリップにして打った所...30ヤードも一遍に飛距離が伸びたのだ!

それから、自分のゴルフを改めて見直してみた...何より、今までの思い込みを捨てて謙虚に自分を見直すつもりで。
アドレスが変だった。
ボールの位置も変だった。
腕の変な所に力が入り過ぎている。
右肩が前に出ている。
スタンスが狭過ぎる。
...等々。

グリップを改めてややストロングにしてみると...
トップのフライングエルボーと言われていた右肘が、グリップを変えた事で自然に収まった。
振り抜きの引けてカッコ悪いと言われていた左肘が、自然にたためるようになった。
グリップのおかげでスイングプレーンが、今迄と違って来た。
振り抜きのスピードがが違ってきた。
インパクトの音が違って来た。
フィニッシュが止まるようになった。
...
面白くなった。
あらためて色々なレッスン書を読み、練習場に頻繁に行くようになった。

ゴルフ仲間に、「とてもかなわない」と思っていた飛ばし屋がいる。
知り合いに「とてもかなわない」と思っていた上級者がいる。
いい仲間だけれど、いつも「上から目線」でゴルフを語られていた。
ゴルフの知識じゃ決して負けてはいないのに。
...いい勝負を出来るかもしれない...本気でそう感じた。

インナーマッスルをつける。
体脂肪率を下げる。
柔軟体操、ストレッチを続ける。
基礎体力の向上ならびにウェイトトレーニングも...

今は筋力をつけながらも、4キロの減量に成功した。
飛距離も確実に伸びている。
この次は無理でも、その次かそのまた次か...近いうちに勝負して勝てるかもしれない...飛ばしで、スコアで。
そうしたら、今迄の「上から目線」ではなくて、自分の前で「下から目線」でゴルフを語らせてやるから。
「男子三日会わざれば、刮目して見よ」と言う言葉を、思い知らせてやるから。



...問題は、仕事が忙しくてラウンドする時間がないだけだ。

img_0-81


ゴルフをするとその人間の本質がわかる、と良く言われているのは知っている。
そうすると私って、獰猛な人間なのかしら。

...小さい時からずっと、他の人と喧嘩するなんて事はまずなかった。
たとえ喧嘩しても、いつも泣かされている方だったし、喧嘩しそうな雰囲気になるだけで逃げてしまったし。
それからずっと...少女時代も、20歳を過ぎてからでも、私は「目立たない」とか「おとなしい」という形容詞をつけられている、小心で穏やかな人間だったはずだ。
自分でも、争いごとを好まず、「みんなと仲良くしていければそれでいい」ってずっと思っているのは変わらない。

それがゴルフを始めたら、周りから言われる事が変わって来てしまった。
「君は獰猛なゴルフをするねえ」
「いやあ、本当に男前なゴルフだ」
「君の本当の性格は獰猛なのかもしれないねえ」
.....
そうなのかしら?
私は争いごとは相変わらず苦手だし、誰かを押しのけていい思いをしようなんて思わない。
「私は端っこでいいよ」なんて言うのが口癖だし、目立つところにいるのは嫌だ。

ただ、勧められて嫌々始めたゴルフは、まぐれ当たりでボールが遠くまで飛ぶのを見てからは、自分の数少ない楽しみのうちで最上位を占める趣味になった。
練習場のゴルフ教室で、レッスンプロに教わって一から覚えて、週一回の練習は欠かさない。

...ただ、私にとってその「ゴルフ」の最高の楽しみは「ボールを遠くへ飛ばす事」だから、(レッスンプロにちゃんと教わったのに)遠くへ飛ばしたくてフライングエルボーのオーバースイングになっちゃったし、「コース攻略の方法」なんていうのも勉強したんだけれど、ピンが見えたらピンに真っすぐ打たないと気が済まない。
せっかく広くて気持ちのよいコースに来たんだから、天に向かって「どこまでも飛んで行け!」とドライバーを打ち、ピンに向かって「ともかく最短距離を」とアイアンを打つ...それしか考えたくない、というのはおかしいだろうか。
(その間に池があっても谷があっても、OBがあっても1ペナがあっても、それを越える事が気持ち良いんだし...)

私の「人見知りをする」、「臆病」で「引っ込み思案」で「目立たない事が好き」で「争いごとは好まないし怖い」という性格は、ちっとも変わっていないんだから、ゴルフを見て私の事を「獰猛だ」なんていうのは間違っていると思うんだけど...

だから、「ゴルフのプレーを見れば、本当の性格がわかる」、なんていうのは間違っている、と私は思っている。
...私は獰猛じゃない。

↑このページのトップヘ