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T県のPカントリークラブのオープンコンペで会ったKさんは、スタートの時に既に赤い顔をしていた。
一人鼻歌を歌い、これからスタートするのが楽しくてしょうがない、といった様子。
飛距離は出ない代わりに、曲がらないボールでスタート3ホールを、ボギー、パー、ボギーと手堅くまとめてきた。
ところが、4番ホールでドライバーが曲がる、セカンドがダフる、ダフる、ダフる..??
上がってダブルパー。
5番、同じくトリ...出だしの3ホールとは別人のようなゴルフになり、「どうしたんですか?」なんて聞いてみると「いやあ、はっはっは....あの、キャディーさん、売店てどこかなあ?」
「売店は6番のグリーンの先です」
「そうか!良かった」

6番ホールのグリーンが終わると、駆け足で売店に飛び込んだKさんは、ニコニコしながらワンカップ酒片手に出てきた。
そして、次の7番ホールに向かって楽しそうに乾杯した。
...この7番ホール、パー。

当然昼食の時にも、ビールではなく燗酒。
鼻の頭を赤くして、旨そうに酒を飲んでいる。

「そんなに飲んで大丈夫ですか?」
「いや、私仕事でストレスが溜まってまして」
「ゴルフしながら酒を飲むのが、一番の楽しみなんですよ」
「皆さんの足引っ張っちゃってるみたいで、済みませんね」

なんでも、Kさんはある業界紙の記者で、土日が一番忙しいんだそうだ。
それにストレスが強烈にかかるために、休みの平日の日にはこうしてオープンコンペに一人で参加して「ゴルフをしながら酒を飲むのが楽しみで..」
「あれ? 酒を飲みながらゴルフをするのが楽しみで??」
「あれ?どっちだったっけ?」
「わかんなくなっちゃいました。ははは...」

午後も赤い顔していた3ホールは1オーバー。
でも、酒が切れてきた途端に、トリ、ダボ、ダブルパー、12!
プレーは速く、ボールの所についたらすぐに打ってしまうから、迷惑にはならない。
酒の匂いや酔っぱらいが嫌いな人には、「困った人」なのかも知れないが...ともかく陽気なゴルフ。
それにこの人、6インチプレースしないし、ルールはしっかり判っているし、同伴競技者にも一応気を遣っている。

スコアは沢山叩いたときには明らかに多めに言ってるみたいだし(笑)、スコアではなく「その日にそのゴルフ場でプレーするのが楽しい...それに酒があるからもっと楽しい」なんだって。
確かに一見不真面目でいい加減なプレーに見えるし、「紳士たれ」とかいうマナーにうるさい人には眉をひそめるような所もあるかも知れないけど、俺は「あり」だと思う、こんなゴルフ。 
少なくとも、スコアに拘り過ぎて周りに余計な緊張感を強いたり、完璧を目指して上手く行かないとすぐにキレたりするゴルフの上手い人達より、たとえ大叩きしても陽気で力の抜けたこんな人と回る方が、ゴルフは楽しい。

Kさんは、表彰式のパーティーの時にも自腹で酒を頼んで、楽しそうに飲んでいた(パーティー代込みでも、出る飲み物はソフトドリンクのみなので)。


..もちろん、Kさんは宅急便利用の電車利用、だそうです。