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夫が言いやがった。
あたしに惚れて結婚して、あたしに頭が上がらなかったあの夫が、思いっきり思い詰めた顔をしてあたしに言いやがった。

「もう...短いスカートやキュロットは穿かない方が...」

足には自信があったんだ。
スタイルだって日本人にしては足が長いし、バランスも良いって。
だから30過ぎて夫の誘いでゴルフを始めたときも、短いスカートやキュロットで足を見せるのは楽しみでもあったんだ。
夫だって一緒に回るときは、他の殿方達にすごく自慢げにしていたのに...

確かにあれからずいぶん経った。
時間が流れた分だけ年もとった。

気にはしていたんだ。
あたしの自慢の足の曲線が微妙に変化してきたことを。
あれほど完璧に思えた曲線にわずかなブレがあちこち出ている。
部屋の中では分からないのに、太陽の下に出るとそれがよくわかってしまう。
..セルライトと言うらしい...よけいな乱れた線が浮かび上がる。
それに、白さが自慢だった足に、静脈も存在を主張して浮かび上がっている。

美というものは移ろうから美しい...そんなことは分かっている。
自分がそこから逃れられないのも分かっている。
でも、夫があんなに思い詰めた顔で言わなくたっていいじゃない!
...わかっているんだから。

美しかった自慢の女房が、色あせていくのが耐えられないんでしょう。
年を取ったのが分かるのがつらいんでしょ。
...あんたがあたしを今でも愛しているのも分かっているし。

ゴルフコースは晴れ舞台、スポットライトの下の主役の座から退場するときが来たのね。
いいわ、あなたと一緒に肌も露なドレスを来た役は降りてやる。
短いスカートも短いキュロットももう穿かないわ。
美しくなくなった足は見せられないから。

...でも、あたしは舞台からは降りないわ。
今は熟女のブームだって言うじゃない?
胸だって自慢だし、足だってぴったりした7分丈のパンツでもあたしの魅力は出せるわよ。
身体のラインは若い頃よりダイナミックでしょ?
セルライトになんか負けるもんですか!
静脈になんか負けるもんですか!

ゴルフの腕だって、今すごく上手くなってるのが自分でも分かるんだから。
もうすぐあなたを越えるんだから。