img_0-20

どんなゴルフのレッスン書にも、プリショットルーティーンの重要性は書いてある。
レッスンプロも皆この事の重要性は教えてくれる。
プリショット・ルーティーンがきちんと出来るようになれば「どんなにプレッシャーがかかったときでも、いつもと同じようなスイングをすることが出来る」なんて事は、今やゴルフスイングの常識だろう。

で、オープンコンペで出会った、Fさん。
栃木のコースのメンバーで、オフィシャルハンデは8だそうだ。
いい人だ...50年配で腰が低いし、よく気が付くし、キャディーに威張るようなこともない。
髪の毛は短く、身体はガッチリしていて、体力勝負ガテン系の印象で、よく飛ばす。
かなり変則的なスイングで、バックスイングを始めてから、腰の辺りにグリップが来ると行ったん止まってしまい、そこから一拍置いていきなり担ぎ上げてスイングする。
ドライバーからアイアン迄全て同じ。
不思議なのは、素振りでは二段スイングになっていない事...普通に上げて下ろしている。

かなりゴルフは熱心にやっているようで、スイングも、その前のプリショットルーティーンも、ドライバーからパターまで一定している。
かなり再現性の高いスイングだ。

が、キャディーが「いや〜だ〜」、われわれも「おい、おい」って...

彼のプリショット・ルーティーンは、ボールから一歩下がって素振りをする。
それからおもむろにクラブから手を離して...「ペッペッペッ!」。
勿論左手は手袋をしたまま...それからグリップして、スタンスとって、目標を確認して...
ドライバーからパターまで全く同じだ。

キャディーさん、途中からグリップを触らないようにして、手渡す。
なんか、我々も握手はしたくないよなあ、って顔見合わせて。

昼の休憩時に話をすると、訛りはきついもののとても「いい人」だってのはよくわかる。
で、「ちょっとあのクセは、やめた方がいいんじゃ?」
「え? 俺、そんなことやってっかい?」
全く自分のやってる事に気がついてない!

午後のスタートホール、それを意識してのFさんのティーショット。
素振りを一回..いつもの様にクラブを離しそうになって、「ハッ」としたように、止まる。
ちょっとそのままで、もう一回素振り...
そのまま止まる。
首をひねって、もう一回素振り...何度やっても、その先に行けない。
なんだかかわいそうになって「Fさん、いつもどおり行きましょっ!」って声をかけてしまった。

気を取り直して、いつもどおり「ペッペッペッ!」とやって、Fさんやっと先に進めた。
「俺さあ、あんな事やってたんだぁ..全然意識してなかったけどお」
「気にしてやめようと思ったら、身体がどう動いていいんだか判らねえようになっちまうんだ」

それが彼の長年やって来たプリショット・ルーティーン...直すことでスイングのリズムが壊れてしまうんだとしたら、あの二段スイングを変えることよりやっかいかも...

あれからしばらく経ったけど、今でもどこかでFさん、「ペッペッペッ」ってやっているんだろうか?