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数年前のコンペで一緒になった、アベレージゴルファーのYさん。
主にボギーペースで、何度かダボやトリプル、パーはハーフに1〜2回と言う所。
典型的なサラリーマンゴルファーのように見えた。

そんな彼がラウンドの最中に、ホールによってボールをわざわざ替えて使っている事に気がついた。
それが気になったのは、普通は綺麗なニューボールを使っているのに、何ホールかでちょっと「薄汚れた」という感じのボールに替えるのだ。

別に難しい池越えだとか、OBが近くてボールを無くす恐れがあるようなホールではないのに。
そのホールが終わると、彼はまた新しいボールに替えてプレーを続ける。
「??」不思議に思った俺は、ラウンド後のパーティーの時に彼に聞いてみた。
「何故、特別に変なホールでもないのに、時々古いボールに替えるんですか?」
「あれ、気がついていましたか...お恥ずかしい。」
「いや、あのボールは私のラッキーボールなんですよ。」
「私はあのボールを使うと、パーかボギーはとれる、って信じてるんです。」

はじめは結構前のこと、何時も池に入れてしまう難しい池越えのショートホールで、彼は無くしても惜しくないつもりで、少し使った汚れたボールでティーショットを打った。
すると、そのホールで初めて彼はパーオン、おまけにワンピンについて、年に何度かというバーディーまでとってしまった...パーも取った事無かったのに。
その時は別に気にせずに、次のホールからまたニューボールに戻してラウンドをして行き、ある左右OBの狭いホールで、またそのボールを無くして構わないつもりで使った。
結果はやはりパーオンして、2パットのパー...もちろんこのホールでも、パーなんて初めて。

その後の数ラウンドも、気にせずに使っていたのだけど、新しく下ろす綺麗なボールはどんどん無くなるのに、そのボールは何時までも無くならない。
汚れて汚いまま、キャディバッグに存在し続ける。

そしてある時、彼はやっと気がついたんだそうだ。
「これは、俺のラッキーボールなのかも知れない!」
試しにその次のラウンドで、苦手なホールで使ってみたら、パーとボギー...今まではどちらもダブルパーぐらい平気で打っていたのに。

...だけどおかしなもので、「ラッキーボール」と信じたら、今度は無くすのが怖くなって難しいホールで使えなくなってしまったんだそうだ。
「もちろん使えば、良いスコアであがれると思うんだけど、もし無くしたら自分の全てのラッキーが無くなってしまう気がして..」

だから今は、無くす恐れが無いホールでしか使わない。
それでも、「今までだったら、崩れるときはどこまでも崩れてしまったんだけど、今はこのボールを使うと崩れるのを止めることが出来るんですよ。」
...オープンコンペでも、何時もそこそこの成績で賞品を貰えることが多いんだそうだ。

このラッキーボール、いつもキャディバッグの特別な場所にしまってある...問題は、いくら丁寧に拭いても「灰色の汚れたボール」以上に綺麗にならないこと、なんだって。